今、ソウル中心部は東京に負けない大都市になっている。
高層ビルが立ち並ぶ大通りに、ハイヒールの音がひしめき合い、夜はそこら中で焼酎の小さなグラスが“チャン”と重なる音が響く。
盛大なクラクションに、活気ある話し声。
あちらこちらで華やかな音が耳に残る。
24時間営業の店も多く、まさに眠らない街ソウル。
力強いけれど、どこか脆い。
こんなソウルの面白さは、大通りから裏へ一歩足を踏み入れれば、急に雑然とした路地に迷い込めるところ。
おしゃれなカフェにSNSスポットと、表通りはこれでもかというくらい流行に合わせてコロコロ変わっていくのに、路地裏は未だ歴史を閉じ込めたまま、時が止まっている所が多い。
私の好きな本に、路地の歴史を語るこんな素敵な一文があります。
「路地裏の料亭街(花街)には歌や踊りを披露する芸妓、キーセンがいた。次第に彼女たちが着るチマチョゴリを作る韓服店ができ、彼女たちを慰める占い師が店を出し、伴奏者のための楽器店が出来た」(著:鄭 銀淑)
現在は妓生はいないし、花街そのものが無くなったので観光客相手の商売へ変化しているものの、今もその路地ではその土地の人が同じ家業のまま占いや韓服屋を営業しています。
歴史を知り路地を歩けば、時の繋がりと、ロマンを感じることが出来る。
こんな風に、ソウルの路地裏を歩くにはには歴史を勉強しないと見れないドラマが多いみたい。
きらびやかなオモテの通りは、歩くととても気分がいい。
たのしい。
かわいい。
でも路地裏はどうだろう。
自分が愛するソウルでなくなってしまうかも。
そして何より歩きだしたら何がいいか悪いか、意味があるのか無いのか、全部自分で判断しなければならないから。
皆に好かれるため次々と顔を変えていく表のソウル。
どちらもソウルで、嘘じゃない。
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